げんげとだし巻きたまごと胡瓜と
Q.友だちの友だちは友だちか。
A.一概には言えない。
Q.では、妹の妹は妹か。
A.一概には言えない。
Q.では、ソウルメイトのソウルメイトはソウルメイトか。
出張で金沢に行った。金沢は二度目だが季節も違えば状況も違う。去年の夏と違い、ここには知り合いが住んでいる。
8時には終わる筈だった訪問先の方との懇親会も、気がつけば予定時刻を10分も超過している。話はまだ終わりそうもない。そして止めるのが勿体ない。先方の方の話がべらぼうにおもしろいのだ。そしてあつい。
「事業を興すときは必ず手伝いに来る」と約束し*1、懇親会が終了した時には、時計はもう8時30分を回っていた。
寒い寒いと脅されていた金沢の夜は、蓋を開けてみれば大したこともなく、ダッフルコートは持て余し気味だった*2。
待ち合わせをした人は、駅前の本屋にいると言う。飲み屋は駅前徒歩5分の圏内であったため、「今から駅前に向かう」とメールを打ちながら駅前に到達すると、入れ違いで「迎えに行くからそこを動かないで」というメールが送られてきた。なるほどね、そういうところはそっくりだ。
実はこの時点において、この人と自分には全く会話の経験がない。2人の間に存在しているのは、ほんの数日前から始まったメールのやりとりと、共通の知人*3だけだ。自分はその人の容姿が想像できるけれども、相手には僕の姿があまり想像できない筈だ。
近くに戻ったタイミングで「飲み屋に向かう交差点で信号待ちをしている」というメールが届く。しかし遠くから目を凝らしても、一向に飲み屋の前に現れる「それらしい姿」はない。
ぜったい先に見つけてやる。などと思った矢先に、唐突に白い上着が目に止まった。なんだよ、やっぱり捜すまでもないじゃないか。
最初のひとことは社会人的に。ふたことめにはもう打ち解けていた。
かくして100%の成功を収めなければならないファーストコンタクトは、100%以上の成功を収めた。
奇跡はもうひとつの奇跡を生んだ。でも、それすらも織り込み済みであることが奇跡の奇跡たる所以だ。
このごろ、すごい勢いで神様の存在を信じつつある。
しりきれとんぼ。