Ya Ya(あの時を忘れない):Southrn All Stars

この間のエントリーで「いちょう並木のセレナーデ」を聴いたら、
なんだか知らないけれども、大学時代のことを書いてみたくなった。
 

大学時代。
今から思えば、
僕がもっとも肩の力を抜いていた時代だったように思う。
珍しく、ほとんど何の肩書きも、何の責任も持たなかった時代だ。
サークルにも入らなかったし、勉強もあんまり頑張らなかったし、
敢えて言えば、ゼミ長みたいな肩書きを持っていたけれども、
あんなのは責任のうちに入らないし。
 
そして、自分ののりしろのようなものを
最も稼いでいたのもまたあの時代で。
貪欲に様々な分野に乗り込み、いろんな人と語り合い、
たくさんの恋をした。
・・・なんてことはまったくなかったわけだけれども、
あの時代に形成された「つね」という
人格というかスタンスというかが、
結構今の自分を色濃く形成しているように思う。
 
何にも属さないなんてことは、社会人である以上ありえない状態であり、
実際に僕は、ちょっと馬鹿げた数のコミュニティに属していて、
人並みに世間のしがらみだとか、人付き合いの面倒くささみたいなものに
どっぷりと浸かっているんだけれども、
「まあ、膝を割って話してみようぜ」というスタンスと、
「まあ、適当にやりましょうよ」というスタンスとを、
自分なりに使い分けることができるようになったのは、
たぶん、大学時代の自堕落な生活の賜物だと思っている。
 
僕が属していたのは文学部で、
文学部の中でもひときわ役に立たない教育学部で、
教育学部の中でもとびきり役に立たない社会教育学を専攻していたのだけれども、
その「とびきり役に立たなさ」が今、すごく役に立っているように思う。
 

その昔、本田総一郎がF1と低燃費エンジンの関係について、

F1を運営しているホンダにとって、低燃費のエンジンを開発することは、
造作もないことだ。F1エンジンは
「如何に燃費を悪くするか」という設計思想で作られていて、
低燃費エンジンは、その逆を考えればいいのだから。

みたいなことを語っていたけれども、
僕の場合も、まったく同じ関係が成り立っている。
どっちがF1で、どっちが低燃費エンジンかと聞かれると、
言葉に窮してしまうけれど。
 
あの時代、この曲を馬鹿みたいに聴いていた。
最初のきっかけは、この曲を歌っている人たちが、
僕の大学の先輩*1であったということで、
次のきっかけは、ギターのコードが簡単だったということで、
それからのきっかけは、この頃のキーワードである、
「未来の思い出」のためだったのだと思う。
 
あの頃思い描いていた未来に今、僕は生きているわけで、
あの頃思い描いていた通り、想像もしていなかった未来に立っているわけだけれども、
あの頃思い描いていた通り、毎日好き勝手に、そして楽しくやっている。
あの頃の思いと食い違っているのは、
 
・・・まあ、それはいいや。
 
もうすぐ世間は秋になる。
秋になれば、図書館に続くいちょう並木も黄色く色づくことだろう。
今年は久しぶりに、学祭にでも行ってみようかと思っている。
そして、表参道のシャノアールで喉の渇きを潤そう。
 

バラッド '77~'82

バラッド '77~'82

 
若い。

*1:卒業生ではない人もいる