あわてなくてもいいよ

その設立の目的からして、当然と言えば当然なのだが、bank bandのオリジナル曲は必要以上に優しく博愛的だ。「はるまついぶき」然り、この曲然り。
 
がんばっている人にがんばれと言うことほど、愚かしく寂しい声掛けはない。その言葉自体が持つ意味が、力が、刃となってがんばっている人の足を止めてしまうことに、気づいていない人は、実は世の中に星の数ほどいる。
「私は手伝わない」「だけど、私に迷惑を掛けないで欲しい」被害妄想的ではあるが、がんばっている人にがんばれとと言う人がいる時、大抵はこのような本音が言下に含まれているように思う。そうならそうとはっきり言うか、言わなければ良いのにね。
 
この曲はそのまったく逆。さらりと手を差し伸べていて、それでいて「僕にはなにもしてあげられない」と言っている。いや、正確に言えば、この曲自体がそういう意味を含んでいるわけではないけれども、この曲をbank bandが唄っていること自体に、最近弱っている僕なんかは素直に心打たれてしまう。言うまでもなくかっこいい。ともすれば偽善に捉えられるリスクを抱えながら、こういったラブソングを唄える勇気が。
 
僕にはそんな力もなければカリスマもないけれども、せめて頑張っている人に、「がんばらなくていいよ」「あわてなくてもいいよ」と声をかけられる人間になりたいと思っているし、それだけの説得力だけは持ち続けていくための努力だけは怠らずに生きたい。
 
ほんと、そのために生きているようなもんです。