ソラニン

Takas2010-05-18

お久しぶりなのである。しかし、挨拶もそこそこに本題に入る。
 
ソラニンは公開が決定した瞬間から劇場で観ることを決めていた作品だが、気がつけば上映が1日1回となり、上映する映画館が激減したため、スケジュールの隙間を鋭く突き映画館に足を運んだ。そんな自分の行動力に敬意を示し、ここにレビューを綴る。
なお、レビューのフォーマットは知人であり映画キ○ガイの"まどかっつ氏"のブログフォーマットに習う。
 

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※※※ 注意 ※※※
「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
 

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1.評価
他人事ではないからこそ、
この"毒"は人を選ぶ。
 
★★★★

(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
 
2.基本情報


(2010年/日本映画/126分)
 
監督:三木孝浩
原作:浅野いにお
脚本:高橋 泉
出演:宮崎あおい
   高良健吾
   桐谷健太
   近藤洋一
   伊藤歩
   永山絢斗

 
OL2年目で会社を辞めた芽衣子。音楽への夢をあきらめきれないフリーターの種田。不確かな未来に不安を抱えながら、お互いに寄り添い、東京の片隅で暮らすふたり。だが、芽衣子の一言で、種田はあきらめかけた想いを繋ぐ。ある想いを込めて、仲間たちと「ソラニン」という曲を書き上げた種田。ふたりはその曲をレコード会社に持ち込むが…。不確かな未来に揺れながらも、新しい一歩を踏み出していく若者たちを描き、絶大な人気を博した浅野いにおの傑作コミック「ソラニン」を映画化。主人公・井上芽衣子を宮崎あおい、恋人の種田を高良健吾が演じる。
 
3.コメント
そこにいたのは
宮崎あおいではなく芽衣子。

 
原作である浅野いにおの漫画は、それこそ擦り切れる程読んだだけに、ストーリーは細部も順序も、温度も湿度も含めてすっかり頭に刷り込まれている(詳細は、このあたりを参照のこと)。
原作は恐ろしく作り込まれた作品なだけに、1人の登場人物の1つのエピソードが欠けても物語は破綻するだろう。映画を観るまではそう思っていた。
結論から言えば、幾つかのエピソードは省かれ、幾つかのエピソードは統合されていた。しかし、それにも拘わらず、そこには紛れもない"ソラニンの世界"があった。温度と湿度の調整がほぼ完璧だったからだ。
 
温度と湿度について1つだけ具体例を挙げよう。
物語のラスト、芽衣子がソラニンを歌うシーンだ。
宮崎あおいは、この作品のためにギターを練習し、"ソラニン"は彼女自身の演奏によるものだ。当然、プロのレベルではない*1。歌だって全然うまくない。でも、その拙さは、あの日のライブハウスにいた芽衣子そのものであり、なんというか"聴かせる"演奏だった。
おかげで、既にグダグダに緩んでいた涙腺は全開になってしまった。
 
この映画を駄作だと言う人も多くいると聞く。
無理もない話だ。原作自体が"紙一重"の作品なのだから。
この作品が満場一致で絶賛される世界には、悪いが住みたくはない。
 
一つだけ残念だったのは、練習に寝坊し遅刻した芽衣子をビリーが迎えに行ったシーンの"再構築"。
それは、或いは起こり得たことなのだとは思うが、あの夜の芽衣子には、どうしても、号泣させてやりたかった。
 
1人の男の子として。
 
4.その他
 

ソラニン

ソラニン

 
あー、もうひとつ不満!
この作品のメインテーマである"ソラニン"は、アジカンが曲を付けているんだけど、現在市場に出ているのはアジカンバージョン、種田バージョンだけで、芽衣子バージョンが出ていない。百歩譲ってそれは許してもいいが、フルバージョンをDVD特典にとっておきたいのか、よりによって芽衣子が歌っている最中にモノローグのセリフが入りやがる!これは演出として最低だった!商業主義の横槍が演出を壊しちゃあいけん。

 

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

 

5.2010年度ランキング
・・・えー、2010年に見た初めての映画なので、ランキングもなにもない。今年は、あと少なくとも「TRICK」と「踊る大捜査線」は観ると決めていて、こいつらはかなりの強敵だけど、この作品を軽んじる理由は今のところない。
ただ、冒頭に述べたとおり、この作品な明らかに人を選ぶ。
だから観て「全然つまらない!!」と感じてもそれは僕のせいではなく、あなたと僕の感受性の違いによるものです。
スメーン。

*1:ベースは文字どおりプロだけど