ONE PIECE FILM Z(評価:★★☆)
久しぶりの映画である。
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※※※ 注意 ※※※
「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
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1.評価
ONE PIECEは映画向きではないのかも
評価:★★☆
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
2.基本情報
(2013年/東映/107分)
原作:尾田栄一郎
脚本:鈴木おさむ
監督:長峯達也
声優:田中真弓(ルフィ)
中井和哉(ゾロ)
岡村明美(ナミ)
山口勝平(ウソップ)
平田広明(サンジ)
大谷育江(チョッパー)
矢尾一樹(フランキー)
チョー(ブルック)
山口由里子(ロビン)
篠原涼子(アイン)
香川照之(ビンズ)
大塚芳忠(ゼット)
佐々木希(どれだかワカンネ)
(あらすじ)
新世界のとある島。海軍の守る拠点にNEO海軍を名乗る集団が現れた。首謀者は元海軍対象ゼット。彼らの狙いは古代兵器にも匹敵する鉱物・ダイナ岩を盗み出す事だった。海軍の執拗な反撃にあいつつも、ゼットはダイナ岩の奪取に成功するが、自ら爆発させた一つ目のダイナ岩による爆風に巻き込まれ消息を断つ。
場所は変わり、麦わらの一味はグランドラインの航路で平和に花見をしていた。そこに突如降って来た雪。そして狂い出すログホース。いぶかしげに海を見つめる一味は、漂流していたゼットを発見する。
チョッパーの介護により息を吹き返したゼットは、柔和な態度で一味に感謝の意を述べる。しかし、ルフィが自分達を海賊だと名乗った瞬間、ゼットは突如攻撃を仕掛けてきた。
なぜゼットは海賊を憎むのか?ダイナ岩を強奪したNEO海軍の狙いは?
全てが謎に包まれたまま、海軍、NEO海軍、そして麦わらの一味を巻き込み、新世界は破滅の危機に向かう。
3.コメント
遅蒔きなONE PIECEの読者です。みんなが騒ぎはじめてからも暫くの間ONE PIECEは放置。小学校高学年になった息子が漫画を買い揃えたいと言いはじめ、しぶしぶと読み始めたのがつい一昨年くらいの事。
いやね、面白いに決まってるのは分かってたんですよ。でもさ、古来から「キャプテン翼」だの「キン肉マン」だの「ドラゴンボール」だの「スラムダンク」だの、ジャンプに散々やられていた世代としては、おいそれと連載中の作品に手を出したくなかったんです。
だってさー、いつ終わるかわかんないじゃん?
今、コミックは60巻をとうに超える長作になっているのに、新世界に入ったのはついこの間だぜ?ほんと、還暦までに終わるのかどうか、不安で一杯です。
さて、本作。
寸評にも書いた通り、「ONE PIECEは映画向きではないのかもなー」というのが率直な感想だった。
ONE PIECEの一番の魅力を挙げるとすれば、その徹底的なキャラクターの作り込み・書き込みだと思う。どのキャラクターにもとは言わないけど、主要なキャラクターの全てには敵も味方も含め、「そこに至った」だけの納得感があるストーリーがある。敵のサイドストーリーにコミックの半分使っちゃう漫画なんて、そうそうない*1。
その徹底的なサイドストーリーがあってこそ、物語に幅が出てくるし、敵が最期を遂げる時に、僕たちは思わず涙してしまうのだ。
本作のラスボスであったゼットは、ちゃんとストーリーを読ませてさえくれれば、間違いなく涙するに値する漢だった。厳密に言えば敵ではないけど、白ヒゲやエースに匹敵するキャラクターにさえ成り得た逸材だったと思う。
そうなのよ、惜しいのよ。
これを映画でやりさえしなきゃ、もっともっとすげえ見せ場が作れただろうなーと思うのよ。青キジとの絡みとかさー、篠原涼子が好演したアインとかさー、もう涙ボロボロ流しながら読んだと思うのよ。ゼットのサイドストーリーが大事に語られていないにもかかわらず、ラストでは「ぐすっ」てレベルにはなっただけに、やはり勿体ない感が漂ってしまう作品だった。
ゼット編のカタルシスを最高のものにするためにも、彼には是非とも本編で存分に暴れてもらいたかった。
とまあ、こんな番外編みたいなストーリーで10巻も使われた日にゃ、それこそONE PIECE終わんなくなっちゃうので、それはそれで困るという噂もあるんだけど、それでも。
という諸々を含め、そこそこ面白くはあったけど、あまり手放しで良い評価は与えられないという残念感が漂う作品でありました。