僕たちの時代のネットワーク・クロニクル(その4:携帯電話)

Takas2008-03-26

手塚治虫が描いた21世紀。そこに登場した様々な夢のテクノロジーのうち、たった一つだけ実現したものが携帯電話だったと聞いた事がある。携帯電話は、人のネットワークを大きく変遷させた。
 
大学生活も後半に差し掛かったあたりで、周りにちらほらと携帯電話を持った人が登場しはじめた。自分が携帯電話を手に入れたのはそれから随分たった就職時点であるが、このアイテムを持ったことにより、自分の生活が大幅に変化したことを覚えている。
 
これは以前にも話をしたことがあるが、携帯電話を保持したことにより、待ち合わせをしなくなった。相互に携帯電話を持つことにより、相手がどこにいるのか、という情報があまり大きな意味を持たなくなったのである。なにせ、相手に電話を掛けさえすれば、その人がいつ、どこにいようとも、半ば強制的にコネクションを確立することができるのだ。
かくして待ち合わせは行われなくなり、人々は携帯電話で連絡を取りながら、次第にその距離をゆるりゆるりと縮め、そして出会うようになった。「今どこいら辺にいる?・・・あ、いた」といった出会い方は、今となっては日常の風景になっているが、携帯電話を保持した当初はとても画期的だった。
 
そして、携帯電話の齎した最大の功績はやはり、ネットワークを完全にプライベートにしたところに尽きる。旧来のネットワークが抱えていた最大の問題点のひとつである「接続のためのノードが物理的に固定されている」という課題を、この発明はクリアした。これにより人と人とを結ぶネットワークは、地理的物理的な制約から解放され、真にプライベートネットワークの時代が到来した、と言っても過言ではない。
 
普段、空気のような存在として捉えている携帯電話。
僕自身は、前世紀最大の発明の中の1つであると思っている。
 
今日の結論。

携帯電話により、人々は真のプライベートネットワークを手に入れた。